2011/11/08

Google Developer Day 2011 ADK Open Callに出展しました

Google Developer Day 2011 ADK Open CallにてFinalist に選出され、DreamWaverという装置を展示しました。応募の際Googleに提出した文書を公開しておきます。
DreamWaver ーさざ波によせて


背景として、海上技術安全研究所深海水槽の波を生成する機能があげられます。これをなんとか、手軽に手元でできないかなと常々思案していたのでした。大抵学校で波の勉強をするときには、教科書の図を見るばかりで、実際に波を作って観察する機会はほとんどありません。小さなスペースで簡単に実験できたら、面白いと思います。

グローブの指先に振動部を取り付けて、波紋を作りたいというのは、水面を指でつついて波紋を作る能力を拡張したいという単純な欲求です。実際やってみるとわかると思いますが、1Hz程度の波紋を連続的に作るのでも数分も続けることができません。それ以上の周波数のものは、多分かなり訓練しないと不可能です。それができていれば、ピアニストにでもなれているはずです。ということで任意の周波数の波紋を作る機能を指先に取り付けてしまおうという訳です。指先に取り付けて移動させたり、複数の指を使ったりして、いろいろな波紋の形を自由に観察できると思います。
来場者の方から、「ジョジョの波紋なんじゃないか」というネタフリをちらほらいただきましたが、その通りです。オーグメンテーションってこういうことだと思います。





画像の左側がArduinoにDreamWaverのシールドを装着したもの、右がNexus S上のDreamWaverアプリです。シールドの回路構成は提案書とはかなり違って、トランジスタアレイによる単なるON/OFF回路です。Arduinoのスケッチ内でパルス幅とインターバルを管理しています。Nesus Sからは、波紋の周期情報としてインターバルの値を渡しています。スライダーでチャンネルごとに周波数をかえることができるようになっていて、同時に操作情報を記録して、後でプレーバックできるようになっています。複数台のDreamWaverがあれば、データを交換たりして、波紋の情報を共有できることになるでしょう。


Type1のケースが間に合わなかったので、水の入ったボールに振動部を直づけしてデモしました。照明が明るすぎたので、波紋がよく見えなかったようです。


問題の振動部ですが、結局自作のアクチュエーターに落ち着きました。軽量で指先に装着して違和感のないように、入手可能な素材で作成しました。0.8g前後の重量になります(しかしこれは、多くの部分が基盤とコネクタの重量です)。これを作るために制作期間のほとんどの時間を費やしました。これで学んだことは、「水は非常に重い。水の表面張力はかなり大きい」ということです。光や電子、空気を操るのは非常に少ないエネルギーですみますが、水を思い通りに操るのはかなり難しいと思われます。
現状の自作アクチュエーターは、なんとか眼で見てわかる程度の波紋を生成できるだけですが、よりよいものに改善していきたいと思っています。

現在のDreamWaver が目指していないものとして、
1)楽器や音楽を変換する装置
2)インテリア
3)データグローブの類
があげられます。1も2もおそらく、派生的に応用できるでしょうが、どちらもいろいろな先行事例があり、2に至っては、水槽にエアポンプで泡を作った方が効果的だと思われます。3は多分ワイヤードされたグローブがあったので入力装置だと思われたのかもしれません。右手にデータグローブ、左手にDreamWaverという体裁でパフォーマンスすれば、受けるかもしれませんが、ただそれだけです。そこから先がないように思います。DreamWaverは、あくまでも、制御された波紋の情報を記録して、再現可能にすることに主眼を置いています。

GDDでの展示は、コイル巻きで力つきていたのと、会場が明るくて、効果的に見せることができなかったので、紹介ビデオを作ってみました。



展示してみて、いろいろ改良すべき点も見えてきたので、Make: Tokyo Meeting にむけて、改良していきたいと思います。



ご来場の皆様、ありがとうございました。

追記)

グローブの造形は、渡邊亜珠美さんにお願いしました。連絡先は
Rumix Design Studio 商品部 造形担当 渡邊亜珠美 azumi.watanabe666@gmail.com
電話03-3876-7651

です。グローブなどの制作物をお考えの方は、どうぞご連絡ください。